書籍紹介

リーダーになるために②コミュニケーションをはじめる

コミュニケーションは信頼関係の上に築かれる

良いコミュニケーションと悪いコミュニケーションとはいったいどんなものだろうか?人は誰しも幼い頃からコミュニケーションをしてきた。しかし、大人の世界では上手なコミュニケーションは稀である。上手なコミュニケーションには取り立てて秘訣というほどのものは無い。

コミュニケーションを始める

1.コミュニケーションを最優先する

2.他人に心を開く

3.コミュニケーションを受け入れる環境をつくる

1.コニュニケーションを最優先する

誰かの頭の中にどんなにすばらしいアイデアがあろうと、それに関わらなければ意味はない。その関わり方は問題では無い。重要なのは、コミュニケーションを続けることである。コミュニケートする時間を絶対つくらなければならない。

ロバート・クランドール

アメリカン航空の元CEOであるロバート・クランドール氏は、月曜日にはいつも会議室にいた。一日中座って何をしていたのかと言うと、社内のあらゆる部署の人と話をしていたのである。ある日には上級幹部社員と、会社の三ないし四つの役職から八人か十人、あるときは十二人がかりで突っ込んだ話をした。彼らは、このコミュニケーションを「車軸とスポーク」方式と呼んでいた。

これには二重の利益があり、クランドール自身は実務に精通している人たちから情報を手に入れられるし、彼らの方もアメリカン航空のビジョンをつくり上げるのに力を貸すことが出来る。両社にとって利益があることは信頼関係を発展させるのに大切なことである。

ウォルター・A・グリーン

一方、コミュニケーションは会議室でなければならない訳では無い。ハリソン・コンファレンス・サービス社のウォルター・A・グリーンは1on1(ワンオンワン)のコミュニケーションをした。会社には組織があり、階層がある。1on1方式は、これを飛び越える。グリーン氏は彼らともっと人間的な付き合いをしたいし、彼らからも会社について質問して欲しいと思っていた。

ダグラス・ウォーナー

J・P・モルガン銀行頭取のダクラス・ウォーナー氏もこの直接対話方式(1on1)を伝統ある銀行に持ち込んだ。週に数回、幹部三十~四十人とコーヒータイムを持つ。モルガンのような銀行でさえも、単純なおしゃべりの効用を見出していたのだ。

マネージャーが陥りやすい最大の誤りは、全ての良い考えは自分たちから出ると思い込む事、コミュニケーションは本質的に双方向であるという事を理解していない事である。

2.他人に心を開く

自分の考えを人に話し、そして人の考えに耳を傾けなければならない。他人に心を開こう。上司、部下を問わず、同僚にもである。

ロナルド・レーガン元大統領、ビル・クリントン元大統領、エイブラハム・リンカーンたちが民衆と良く対話をしたと評されるのは自分が奉仕する人びとの話を聴き、話しかけることを良くしていたからである。人びとの事を気にかけ、例え持ち込まれる問題の全てを解決できなくても、関わりを持ってくれ、自身の考えをはっきりと言ってくれる。当然、批判もあったがリンカーンが、このやり方を続けたのは民衆の意見を理解する事が大統領としての本質に関わる部分であると考えたからであり、自分が直接聞きたいと望んでいたからだ。

フォードの北米生産販売担当重役、リチャード・L・フェンスターマッハーは、いつも「わたしの部屋のドアは開いている」と言っていた。「もし廊下を歩いていて、わたしがそこにいるのを見かけたら、ただ『こんにちは』と声をかけるためだけでも、立ち止まってくれたまえ。もしこちらの考えを引き出したければ、そうするんだ。部長を通さなければ、などと考えないで。」

3.コミュニケーションを受け入れる環境をつくる

前述のような理解ある人と関われれば良いが、そうでない場合もあるだろう。気楽な相互作用は、偶発的に起こるものでは無い。これを支える重要な要件は、コミュニケーションしやすい環境をつくり出すことである。

真の信頼関係と共通の利害関係が確立されていない限り、自分の考えを言いたがらないし、相手の言い分を心から聴こうとしない。これについて、真剣に考えなければならない。

メアリ・ルー・レットン

体操選手のメアリ・ルー・レットンは、「その人が取っつきやすい人かそうでないかは、すぐに分かります。このことがわかったら、言葉以外のコミュニケーションとボディランゲージで、その人の言うことが読めます。誰かが隅っこに立っていて『ねえ、僕に話しかけないで』と言っていたら、分かるでしょう」と言っている。そうならないようにするには、心を開くこと、人々が好きになるようにすることである。人を受け入れる環境をつくり出すとは、人を気楽な気持ちにさせることだ。

ひとたび誰かが、リスクを冒して自分の考えを言ってくれたときには、その率直さを罰してはならない。相手を落胆させて、二度とふたたび、コミュニケーションをする意見を冒したりはすまいとおもわせるようなことは絶対にしてはならない。

フレッド・J・シーバード

ニューヨーク生命保険会社の財務責任者、フレッド・J・シーバートは従業員から同意できないような提案があったとき、「できないという言い方には相当の気配りが必要である。格別の配慮が必要だ」と言っている。しかし、こうも伝えている「彼らを励まして、またこの次の機会に別の提案をするようにしたいものである。スタッフには、100回のうち99回まではきみたちの意見に賛成しないかもしれないが、懲りずに提案してほしいと言っている。そのために給料が支払われていることを知ってほしい。100回のうち、その最後の1回というのがほんとうの値打ちがあるのである。その他の99回の提案に賛成できないからといって、彼らの能力があまりないと言うつもりは毛頭ない」

 まとめ

後に大きく実るアイデアを話すケースは100回に1回どころではないだろう。だからこそ、いろいろな考えを聞いたり話し合うことが非常に大切である。コミュニケーションとは慣れであり、技である。多くの人が考えている以上に、勇気をもって実行してみる価値のある事なのである。ときには、自分の弱点を見せてしまったり、コミュニケーションすることを頼むときもあるだろう。苦労もするし、時間もかかる。だが、実践することだけが唯一コミュニケーションを始める行為である。

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