自分自身の殻から踏み出て、他の人にとっては何が重要かを見つけだそう
1.彼らの利益になるのは何か
本章の序文にデール・カーネギー氏が秘書を雇う際のエピソードが紹介されている。カーネギー氏は新聞に広告を出した。300通程の応募があったようだが、たいていは「広告を見て応募しました。~と言います。私は~」と、自己紹介と応募の理由を書いていたが、ある女性の手紙は他とは違っていた。
「拝啓。おそらくあなたの広告には200~300通の返事が来ることと存じます。あなたはお忙しい方ですので、全部の手紙に目を通す時間はおありになりません。ですから、いますぐ、ちょっと電話に手を伸ばしてバンダービルド3-9512番にダイヤルしてくだされば・・・」「喜んでお伺いして手紙を開封し、つまらない手紙は屑籠へ放り込み、残りの手紙を机の上に読みやすいように広げてさしあげましょう。わたしには15年の経験があります・・・」彼女は続けて、以前どんな著名人のもとで働いていたかを書いてきた。
カーネギー氏は嬉しくなり、即座に受話器を取り上げ、来てくれるようにと言った。しかし、遅すぎたのだ。他の雇い主が彼女をさらっていった後だった。ビジネス社会を動かしているのは、彼女のような女性なのである。
他人の視点からものごとを見るということは、偶然に起こるものではない。質問するのは難しいことも、こちらから聞き出さなければならない。仕事で家庭で社交的な場面で尋ねるのだ。ポイントは、単に他人が欲していることに何でも賛成するということではない。他人がほんとうに求めているものを探り出して、さらに可能な範囲で、それに答えるということは、真摯で誠実な努力を要するということである。
仕事や家庭で良い人間関係を築きたいと考えていても思うようにいっていないのであれば、確認してみて欲しい。他人の視点からものごとを見れているだろうか?